くじら手帳

京都に住む父親サラリーマン投資家の備忘録。

パット・ドーシーの『千年投資の公理』を読んだ

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「ワイドモート(wide moat)な企業」。

米国株投資をするようになり、時折りこの表現を見かける。ウォーレン・バフェットが有望な投資先を見分けるための判断基準として用いた言葉っぽい。

 

それがどんなものなのかが知りたくて、『千年投資の公理』を読んだ。この本では「経済的な堀(economic moat)」について、その見分け方が書かれており、経済的な堀を持つ企業を投資対象としていくべきだと主張されている。

ポイントをまとめておく。

 

千年投資の公理 (ウィザードブックシリーズ)

千年投資の公理 (ウィザードブックシリーズ)

  • 作者: パット・ドーシー,鈴木一之,井田京子
  • 出版社/メーカー: パンローリング
  • 発売日: 2008/12/05
  • メディア: ハードカバー
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経済的な堀(economic moat)

長い時間をかけて構築されたビジネス上の構造的な優位性のこと。ビジネスにおける堀となり、ライバル企業が真似するのが難しくなる。

 

堀を見つけるサイン

以下のものを持っているかどうかで、その企業が堀を持つかどうかを確認できる。

  1. 無形資産
  2. 顧客の乗り換えコスト
  3. ネットワーク効果
  4. コスト優位性

 

サイン1. 無形資産

無形資産にはブランドや特許、認可などがある。

ブランドが堀になるのは、ブランドが消費者の購買意欲を促進するか、顧客の囲い込みをできる場合に限られる。ブランド力があるかどうかは、競合製品よりもプレミアムを上乗せした価格で販売できているかどうかで考えることができる。

特許が堀となるには、保有する特許が多く存在し、分散されている必要がある。また刷新が重ねられ、継続的に特許を取得していることも大事。

認可が堀となるには、大きなひとつだけの認可よりも、小さな認可がいくつも集まっている方がより望ましい。

 

サイン2. 顧客の乗り換えコスト

乗り換えコストとは「A社の製品からB社の製品やサービスに換えたときの利益がそのときのコストより小さいこと」。

顧客の事業に密接に関わっていて乗り換えづらくなっていたり、乗り換えるのに多額のコストが必要だったり、乗り換えると使用にあたっての再訓練が必要になったりするケースがある。乗り換えコストが大きくなると、ユーザーが他の製品やサービスに乗り換えづらくなり、提供する側が価格決定力を持てるようにもなる。

 

サイン3. ネットワーク効果

ユーザーの数が増えて製品やサービスの価値が上がるとき、その企業はネットワーク効果の恩恵を受けられる、という。

アメックスのカードをどこでも使えるのは、ユーザーがたくさんいて、その信頼性が高まっており、そのために取り扱い可能店舗もたくさんあるから。マイクロソフトのエクセルもたくさんの人が使っていて、スタンダードになっており、これがまたエクセルの使用を促している。

 

サイン4. コスト優位性

コスト優位性を持つには、安い製造過程や、有利な場所、独自の資産、規模の大きさが条件となってくる。

安い製造過程は最初こそ堀になりうるものの、真似されたり、さらに効率的な過程が編み出されたりすると陳腐化するので要注意。

有利な場所(地の利の良さ)は重要で、特に流通のことを考えると、顧客の近くに拠点を構えられていることが活きてくる。この優位性は真似しにくいので堀としての耐久性がある。

独自の資産とは世界的な天然資源の鉱床などのこと。持っている場合、強い優位性となる。

規模の大きさでは絶対的な規模よりもライバル社と比較した規模のほうが重要。小さい企業であっても、規模がライバル社よりもずっと大きければ強い堀になる。

 

 

堀のサインとして信頼できないもの

これらに対して、ついつい惹かれがちだけど、以下のものはサインとして信頼できないので注意が必要。

  • 優れた商品
  • 大きなマーケットシェア
  • 経営の効率性
  • 天才的なCEO 

 

 

まとめ

ワイドモートが少し理解できた。堀、大事。

今後は企業を調べるときに、経済的な堀を持っているかという観点でも確認するようにしよう。 

 

 

関連記録。

株式投資の未来』はもっと若いときに読みたかった。

gantt.hatenablog.jp

 

実践的なノウハウ(Yahoo Financeでの企業分析のしかたとか、経済指標の重要度とか)がまとめられているのでよかった。

gantt.hatenablog.jp